DOC

DOCファイルとは

Word の古いバイナリ形式。書庫や役所の書式で今も出てきます。

DOC とは何か

DOC はバイナリ形式です。これを知っているプログラムにしか意味を持ちません。 編集のために使われます。

拡張子は .doc、正式名称は Word 97-2003 Document です。ただしどちらも、そのファイルが中に何を持てるかほどには多くを語りません。このページの残りは、その中身についての話です。

DOC はどこから来たのか

Microsoft が 1997 年に公開しました。

これだけ長く読まれ続けてきた形式なら、10 年後に取り出したいものを預けても大丈夫です。

仕様は公開されていますが、公開しているのはそれを所有する会社です

文書があり、それに沿って実装できます。それでも、次の版がどうなるかを決めるのはその会社です。実務上、ファイルが開き続けるにはこれで足ります。安心するには足りません。

古い形式です

今もどこでも開けますし、古いプログラムは今もこれを書き出します。ただ、この形式のまわりで新しいものは何も作られていません。残しておきたいものは移してください。そして今日始める仕事には、これを選ばないでください。

1 つのファイルに複数ページを持てます

DOC ファイルは 1 ページに縛られていません。1 ページしか持てないものへ変換するときには、これが効いてきます。1 回の変換で出てくるのは 1 ページぶんのファイル 1 つで、取られるのは先頭のページです——どのページを取るかを選ばせてくれる変換であれば、そのページになります。

どんな種類の文書か

DOC の中身はテキスト文書です。段落は、置かれたページに合わせて流れ直します。

これが変換のされ方を決めます。テキストは流れ直すので、ページ数は結果の性質であって、ファイルの性質ではありません。

DOC を開けるのは何か

Microsoft WordとLibreOffice Writerが読めますし、同じ種類のプログラムならたいてい読めます。

ファイルが開かないとき、形式が悪いことはめったにありません。たいていはプログラムのほうが形式より古いのです。もっと古い形式に変換してしまうのが確実な逃げ道で、このサイトの残りの部分はそのためにあります。

ブラウザーで開く

これを読めるブラウザーはありません。

これを変換するいちばんよくある理由がこれです。形式が悪いのではありません。ファイルを見せたい場所が、それを読めないというだけのことです。

作業のための形式です

DOC は、開いて手を入れるために作られています。作業が続いているあいだはこの形式でファイルを持ち、完成したものが必要になるたびに、ここから書き出してください。

この形式でよく起きること

繰り返し挙がる不満はこれです。ページの体裁がそのまま移るのではなく、組み直される。

どれも、この形式を避ける理由にはなりません。どれかに不意を突かれる前に知っておくべきことがら、というだけです。これは別の主張であり、そして役に立つほうの主張です。

今はもう誰も新しく作らない、という前提

DOC は 1983 年から、Office 2007 が DOCX に置き換えるまで Word が使っていた形式です。もう二十年近く前に世代交代しているため、今日届く DOC には必ず経緯があります。アーカイブから出てきたもの、誰も見直していないテンプレートフォルダー、スキャンされた記録システム、法律事務所、あるいは今はもう存在しないパソコンのバックアップです。

そのため大事なのは、開き方、変換すると何が失われるか、そして何が中に潜んでいるかであって、これから使うべきかどうかではありません。その判断はずっと前に済んでいます。

マークアップ付きのテキストではなく、バイナリの文書

DOCX が読めるテキストの XML を詰めた ZIP アーカイブであるのに対し、DOC は複合バイナリファイルです。実質的には一つのファイルの中に小さなファイルシステムがあり、構造化されたレコードのストリームを保持しています。テキストエディターで開くと、バイナリのノイズの中に断片的な文字が散らばって見えます。

仕様は最終的に公開されましたが、非常に大部な内容です。この形式は設計されたのではなく、二十年かけて積み重なって成長したためです。Microsoft Word 以外での DOC への対応がいつもおおまかにしかならなかったのは、意欲の欠如ではなく、文書化されていない挙動が何十年分も積み重なった、動き続ける標的だったからです。

削除したはずの文字が、まだファイルに残っている

古いバージョンの Word は「高速保存」という手法を使っていました。変更をファイルの末尾に追記するだけで、全体を書き直さない方式です。当時のハードウェアでは保存が速く済む利点がありましたが、削除した文字がファイルの中に残ったままになることがよくあり、Word からは見えなくても、バイト列を直接見れば普通に読めてしまいました。

この仕組みのせいで、以前の草稿が受け取った側に復元されてしまうという、よく知られた失敗が繰り返し起きました。手元の DOC に気にすべき履歴があるなら、表示されている以上のものを含んでいると考えてください。現行のツールで PDF や DOCX に変換することが、そうした痕跡を置き去りにする確実な方法の一つです。

DOCX への変換で残るもの、残らないもの

文字、見出し、リスト、表、脚注、画像は確実に引き継がれます。変更履歴やコメントもたいてい残ります。手紙、報告書、契約書、原稿といった大多数の文書では、変換後のファイルは同じ文書だと言って差し支えありません。

ずれるのは正確なレイアウトです。行の折り返しやフォントの扱いは時代によって変わっているため、ある単語でちょうど終わっていたページが、一行早く終わったり遅く終わったりし、幅に合わせていた表がずれて再配置されることがあります。五十ページの文書ではページの区切りが動くこともあります。ページ割り自体が重要な文書 — 法的な提出書類や組版済みの原稿など — であれば、レイアウトが再計算されず固定される PDF に変換してください。

見た目が崩れる原因はたいていフォント

DOC はフォントを名前で参照するだけで、たいていフォント自体は埋め込みません。2004 年に Windows のパソコンで書かれた文書は、その時代の Office に付属していたフォントを指定していることがあり、今ではどこにも存在しないため、読み込む側が字幅の違う別のフォントに置き換えます。

結果として、内容は完全に正しいのに見た目だけが微妙にずれます。行の折り返し位置が変わる、見出しが二行になる、表の列が急に狭くなる、といった具合です。何も失われてはいません。見た目を正確に保つ必要があるなら、確実な答えはそのフォントを持つ端末で作った PDF です。

DOC はコードを実行でき、DOCX はできない

DOC ファイルはマクロを含められます。これが DOCX との最も重要な実務上の違いです。DOCX はマクロを含められず、マクロ付きの現行文書は DOCM として保存され、拡張子でそれと分かるようになっています。

マクロ付きの Word 文書は、長い期間マルウェアの配布経路として使われてきました。現行の Word がインターネット由来のファイルを保護されたビューで開き、二度確認しない限り何も実行しないのはそのためです。予期しない DOC の添付ファイルには、ソフトウェアがすでに示している警戒と同じだけの疑いを持つべきで、Word で開く代わりに変換して読むのは、何も実行せずに中身を確認する妥当な方法です。

今も DOC を作り続けているのは誰か

記憶の長い組織がほとんどです。2003 年に形式を指定してから見直していない裁判所や行政の提出システム、二十年間コピーされ続けてきた社内テンプレートフォルダー、保存していたものをそのまま書き出す古い記録・文書管理システム。依存しているライブラリーが DOC にしか対応していなかったために、その形式を書き出すソフトウェアもたまにあります。

もう一つ、静かによくあるケースがあります。実は DOC ではないファイルです。一部のツールは RTF や HTML を書き出しながら、Word がそれでも開いてくれるという理由で拡張子を .doc にしています。Word で開けるファイルを変換ツールが拒否する場合、破損を疑う前にこの可能性を確認する価値があります。

まったく開けないとき

まず確認すべきは、そもそも DOC ではない可能性です。古い Works の文書や WordPerfect のファイル、拡張子だけ .doc にした RTF などが実際に紛れ込んでいて、それぞれ別の読み込み方が必要です。先頭の数バイトを見れば分かります。本物の DOC は複合ファイルの署名で始まり、RTF はその名前を綴った文字そのもので始まります。

本当の破損はもっと厄介で、たいていは部分的です。この形式はテキストを、周囲の構造が失われても残り得るストリームに保存しているためです。Word 自体のテキスト回復機能は、書式を諦めて文字だけを取り出します。文書の価値が中身にあるなら、たいていこれで十分な結果になります。

基本情報

DOCフォーマットの識別子と出自。
拡張子.doc
メディアタイプapplication/msword
公開元Microsoft
初版1997